こんにちは、藤松です。
鎌倉を駆け足で紹介してまいりましたが第3回の今日は
長谷、極楽寺、稲村ケ崎と進んで七里ガ浜の「海」に向かいます。
鎌倉宮からバスで鎌倉駅に戻ったあと、江ノ電に乗り込む私。
ゆっくりゆっくり狭い民家の隙間をぬう電車に身を預ける事数分。
長谷駅で降りて海まで歩きます。

長谷駅から歩いて5分、正面に極楽寺の坂が見えてきました。
さあ、坂を上りましょう。
極楽寺の坂を上り、極楽寺駅を通過していきます。
まだ海は見えません、だけどときおり吹く南風をかぐとほのかに潮の香りがします。
いうまでもなくそれは、もうすぐ海だということ。

柵のもうけられていない線路に沿ったり沿わなかったりする道をしばらく歩く。
一歩一歩と進むたびに潮の香りは確実にその濃さを増していく。
徐々に胸も高鳴って、いつしか早歩きになっている自分に気づく。
そして。
海だ。

道の終わりに見えたのは一面の青。
ついさっきまで山の近くに居たのに、わずかな時間で今度は海に居る。
何度味わっても不思議な感覚です。
「わー!海!」
「はやく!はやく!」
信号待ちをしていたその時、ちょうど私の横に居た女子二人組がこの景色を見て
はしゃいでいました。うんうん、わかります、ものすごくわかります。叫びたくなります。
信号が青になる。走り出す女子二人組。どうか転ばないで。
元気な二人を見送りながらゆっくりゆっくりと七里ヶ浜方面に歩きます。
すると正面に江ノ島とかすかに富士山があらわれます。
街中に住んでいた時、私はここに来るたびによく思ったことがあります。
それは、いつもと同じ変わらない景色が自分の住む街にずっとあり続けるって素敵だなと。
目まぐるしく変わる街もそれはそれでもちろん刺激的で面白い。
でも、変わらない景色の持つあたたかさに私は気が付いたのです。
目の前に広がる、あまりにも大きな海に日常でためこんだもやもやした気分を
放り投げてしまって、波の音を聞きながら家族や友達と時間を忘れておしゃべりをする。
ああ、なんて素敵なんだろう。
ガタン、ゴトン。ガタン、ゴトン。
時折聞こえてくる江ノ電の刻むリズムはおだやかでスロー。
鎌倉の空気感を表現したみたい。
鎌倉か、そうだなあ、いつか住みたいなあ。
鎌倉に来る度にそう思っていた私。
いつの間にか鎌倉の住人になっていたというお話です。

ゆっくり流れる時間につつまれた街と自然の中で暮らすという事。
それはきっと、せわしない毎日の中で見落としがちな「自分自身」と
腰を据えて向き合える時間の中で生きるという事。
鎌倉が大好きな方も、まだ足を運んだことの無い方も。
いちどはこの空気に触れてみてください。
不思議な引力に引き寄せられている自分に驚くかもしれません。
終
本記事はじぶん仲介journal様に
寄稿させていただいた記事になります。
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