わたしの小さな古本屋の感想・レビュー!蟲文庫さんの想いを知った。


内容(「BOOK」データベースより)
岡山・倉敷の美観地区、その外れに佇む古書店「蟲文庫」。10坪にみたない店内には古本と一緒に苔や羊歯のグッズが並び、亀などの動植物がいて、時には音楽イベントが開かれる。知識、予算なしからの開業奮闘記、人と本のつながりが生んだ思いも寄らない出来事、そして偏愛する苔の話まで。ユニークな古書店の店主が、帳場から見た日常を綴る。増補して文庫化。

朝起きて身支度をして家を出る。いつもと変わらない出社風景。
鎌倉に引っ越す前に住んでいた都内の私の家の近くには小さな本屋さんがあった。
お世辞にも大きいとも言えないけどその本屋さんはずっとそこにあった。
ああ、私も好きな本に囲まれて毎日を送れたらいいなと思う事は多々あったし
今でも思っている。もちろん甘い事だけじゃなくて色々と辛い事もあるに違いない。
結局何をするにしてもそれなりにしんどいものだ。
でも、それだったら自分の好きな事をするのもいいじゃない?そう思う今日この頃。

本書は岡山県の倉敷にある蟲文庫さんのご店主さんが書かれたもので
どういういきさつで古本屋さんを立ち上げたのかという話から普段の営業風景等が
綴られている。
そこには観光地ならではのこんなエピソードも。

「一回りしてくる間、荷物を預かってくれませんか?」
「ちょっと、子どもをみておいてくれませんか?」

このくだりを読んだとき思わずふふっと笑ってしまう。
いや、当事者の方にしたらなかなか面倒な話だろうけど、つい。

それでもこういう風景も一つの出会い。古本屋という事もあり、いろんな本を探し歩いている
お客様も当然こられるとの事。

「よかった、ずっと探していたんです」
「この本、私のおじいちゃんが翻訳したんです」

嬉しそうにそう話すお客様があつまる場所、蟲文庫。

ご店主の田中さんはそうしたドラマチックなエピソードを紹介した後にこう述べる。

たぶん、その人は、本を買っていくというよりかはその本にまつわる想いを形として得るためにお金を払うのだと思います。

素敵な本と出会った時の感動は、本が大好きな人にとってはたまらないもの。
もちろん私だってそう。

あの紙ににじんだ文字は私たちの心の中に入り込むためのいわば手段みたいなもので
私たちが本当に求めているのはそのにじんだ文字が私たちの中に入り込んでどんな
化学反応を起こすかという事。このご店主さんの言葉に強く共感した私はひとりで
うれしくなってついにやにやしてしまうのだ。ふふふ。

いつか行ってみたいな蟲文庫。

 

 

 

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