目に映る全てが意味のあるもの。ユリイカ9月号「君の名は。」特集を読んだ。


内容紹介
最新監督作『君の名は。』公開記念。
若い世代の支持を集める新海誠を総特集。

目次予定*
【インタビュー】
新海 誠

【キャストインタビュー】
神木隆之介

【音楽インタビュー】
RADWIMPS

【対談】
丹治匠+中田健太郎

【論考】
大野真/木村朗子/河野聡子/土居伸彰/大久保清朗/トマス・ラマール/
細馬宏通/畠山宗明/中田健太郎/荒川徹/イアン・コンドリー/藤津亮太/
渡邉大輔/飯田一史/石岡良治/さやわか …他多数

私が「君の名は。」を見たのは公開直後だったので、鑑賞してから1か月近く経つ。
だけどまだまだ自分の中で「君の名は。」は終わっていない、そんな不思議な映画。

それはただ単純にもう一回見たいという事でもあり、またはあの場面のあの演出はどういう意図があったんだろうと思い返す事でもあったり、また後から気づいた新しい発見に驚く事でもあったり。ユリイカの9月号はそんな新しい発見を与えてくれる「君の名は。」の特集号。新海監督のインタビューをはじめ、主人公の瀧の声を担当した神木隆之介、RADWIMPSらのインタビューが掲載されていてファンにとっては見逃せない内容。
※ビジュアルを期待して購入するのはあまりお勧めしません、ユリイカは批評系の雑誌で
文体がメインなのでビジュアルは本当に申し訳程度にしかないのでご注意を。

背景という記号、人物という記号

私自身、新海作品を見るのは「雲の向こう、約束の場所」以来。近年の「言の葉の庭」や「秒速」はまだ見ていないので熱心な新海作品ファンという訳ではなかった。そんな私が新海作品の何を語れようかという逡巡もあったけどそれでもあえて語らせてもらうと、「君の名は。」は描かれている背景、人物がそれぞれ意図をもって強く動いている作品だったという事。
場面ごとの背景には何かしらに意味があって、その意味/意図を汲んでキャラは動いていて私の中にすーっと入ってくる心地よさを感じた。もちろんそれは私が見た「雲の向こう」にも当然
現れていたのだけど今回のそれは物凄く力強く感じたわけで。
そんなところに私は新海監督の作品の対する「軸」を垣間見る事が出来た。

 

RADの音楽が同作品のすきまを埋めた。

私はRADWIMPSの大ファン。なので今回「君の名は。」を見に行きたいと思った大きな理由の一つであることは否定しない。でもそれでいいじゃないか!(笑)
映画音楽はその作品の良しあしを大きく左右する大事な要素。
その音楽というすきまにRADWIMPSが入ってくれたことは個人的には大満足だし、
初めてRADをちゃんと聞いたという人にとって、もっとRADも聞いてみようかというきっかけになってくれたらうれしい。

同誌のRADインタビュー記事ではRADが同作品に関わるきっかけや、新海監督との曲作りのエピソード等が書かれている。その中でも新海監督がRADWIMPSの野田に話したという言葉がとても印象的。

野田:色んなアプローチの曲で(映画を)彩れたらいいなと英語の歌詞の曲とかも
作ったんです。でも僕が逃げているように監督には感じられたのか、
「直球で勝負してほしい」というようなことは言われましたね。

ユリイカ2016年9月号 P83より引用

このくだりを読んで鑑賞済みの「君の名は。」を思い返してみるとなるほどと思う事がたくさんあった。
これもまた新しい発見。

音楽を聞くと同時に音楽を読む、そんな不思議な体験。

 

まだまだ続く、君の名は。

冒頭に書いたように私の中ではまだ君の名は。は終わっていない。
・・・というか終わりそうがない。先日購入したこのユリイカを読んで、また違う角度から同作品を見返す楽しみを知った。
もっと違う面白さを見出すことが出来そう、そう考えるとまたわくわくしてくる。
そのわくわくもきっと、映画「君の名は。」の一部。

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