☆
「あ、上田君降りよ、乗り換えだ」
「うん」
「京葉線って本当に乗り換えが面倒だよね。もう少し便利だったらいいのにな」
「うん」
「あ、周りが明らかに舞浜に行くって人だらけになってきたね。私たちも何かディズニーグッズを身に付けておけばよかったかもね」
「それはちょっと・・」
「ちょっと、なに?」
「恥ずかしいし」
「上田君わかってないなぁ、夢の国なんだからそんなの誰も気にしないの」
「ここはまだ東京駅だけど」
「もうすぐだ!って思い始めたその場所がもう夢の中なの!」
「よくわかんない・・」
「私ね、ディズニーに行くのって高校受験の時以来だから結構久しぶりなんだ」
「そうなん、だ」
「・・・誰といったのって聞かないの?」
「え?」
「聞いてよ、ほら」
「えっと、誰といったの?」
「お母さんとだよ」
「そ、そっか・・」
「あのさぁ、私が馬鹿みたいじゃない。そういう反応やめてくれない?」
「ああ、ごめん。ちゃんと聞いてるんだけど」
「知ってる」
「・・・」
「お母さんさ、私がディズニー行くって話したら物凄く行きたそうにしてたんだよ。
まあ今回はお友達と行くからダメって言っておいた」
「・・・」
「お友達、なのかな?」
「え?」
「え、いや、上田君の事」
「・・・・・・」
「・・・・・・あ、電車来たよ。乗ろ」
「う、うん」
「綺麗だねー」
「うん」
「ちょうど今の時間帯って東京湾と朝日がいい感じだよね。海が見えたらもうすぐ舞浜だって
気分にもなるし」
「それは確かに。あ、観覧車」
「うん、観覧車。乗ったことある?ここの」
「ううん、無い」
「また今度乗ろうか?」
「え、う、うん」
「あ、舞浜着くよ」
「舞浜だ・・」
*
「着いたねぇ上田君!」
「着いたね。えっと、どっちに行こうか。ランドかシーか」
「私が決めていいの?」
「うん」
「じゃあ、ランドで。こっちだよ」
「あ、待って・・」
「上田君、ボンボヤージュだ、入園する前によって行かない?」
「うん」
「見てこれかわいい!上田君、かぶって見なよ」
「い、いいよ。恥ずかしい」
「だーかーらー、そういうの今日は無し!」
「わ、ちょっ・・」
「・・・・・似合わないね」
「・・・・・・・・・・」
「あははははは!でもなんだか癖になる!」
「・・・・・・・・・・」
「あ、あれ?怒った?」
「別に。俺、これ買う」
「え、ほんとに?」
「うん」
「じゃあ私も同じもの買うよ。お揃いだね」
「・・・お揃い・・」
「見て!どうかな?」
「・・・・・いい」
「え?」
「かわ、いいと思う・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「「(顔、赤い)」」
(続)
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