職業としての小説家の感想・レビュー!


内容紹介
いま、村上春樹が語り始める――小説家は寛容な人種なのか……。村上さんは小説家になった頃を振り返り、文学賞について、オリジナリティーについて深く考えます。さて、何を書けばいいのか? どんな人物を登場させようか? 誰のために書くのか? と問いかけ、時間を味方につけて長編小説を書くこと、小説とはどこまでも個人的でフィジカルな営みなのだと具体的に語ります。小説が翻訳され、海外へ出て行って新しいフロンティアを切り拓いた体験、学校について思うこと、故・河合隼雄先生との出会いや物語論など、この本には小説家村上春樹の生きる姿勢、アイデンティティーの在り処がすべて刻印されています。生き生きと、真摯に誠実に――。

初めに告白いたしますが、私は村上春樹さんの本をたくさん読んでいる訳ではありません。
読んだことがあるのは「世界の終わりと、ハードボイルドワンダーランド」「海辺のカフカ」「ねじまき鳥クロニクル」「キャッチャーインザライ(和訳)」くらいだったと思います。

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でも確かちょうど一年前、旅行先の京都の丸善で積まれていた同作の単行本を見て何となく
買ったのを今でも覚えています。不思議な、引力みたいなものにひかれて。

その頃、私も下手の横好きで小説をこそこそ書いていたのですがどうも上手くいかない。そもそもどうして私は小説を書こうと思ったのかよくわからなくなってきたのです。そんな時に出会ったのがこちらの本でした。

村上さんはやっぱり独特の価値観をお持ちになっていて例えば小説を書く時は

文章を書くというより音楽を演奏しているというのに近い感覚

を持つと表現する当たり、愕然としたのを覚えています。私には皆目感じたことの無い何かをこの人は持っている、と。当然共感を覚える人もいると思うんですよ、ただ、私は共感できなかった。でも、すごいなと感動したのを今でも覚えています。

 

そして感覚というくくりでは次の言葉も印象に強く残っています。

最初の小説を書いたときに感じた、文章を書くことの「気持ちの良さ」「楽しさ」は基本的に変化していません。

どうして小説を書いているのか分からなくなった時の自分がとても勇気づけられた言葉。
そう、あくまでも書いている自分が心地よくて、何よりも楽しい。これが全てなんだと。
村上さんの堅くない気楽なエッセイはそんな私の心を軽くしてくれました。

村上さんはあくまでも自分の思ったこと、自分の感じたことをエッセイに残す。
そのエッセイに何かしらの救いを受ける人がいる。

ただそれだけの事。ただそれだけの事なんだけど、私は文章というものに力を感じたのです。

エッセイと銘打たれている本作ですが、私から見ると小説を書く人に向けての金言だらけの
虎の巻だと思うのです。なぜ小説を書くのか、どうやって書くのか、書き続けるためには。村上さんのノウハウが惜しみもなく散りばめられています。

じゃあそのノウハウを真似したら村上春樹になれるのかといわれるともちろん答えはノー。あくまでも、村上春樹が村上春樹になった過程を書いているにすぎません、だけども参考にならないはずがない。特に私は村上さんの生活(ルーティン)に物凄く学ぶところがありました。とにかく毎日5時間机に向かって小説を書く、ジョギングをする・・・。
定型化された生活こそ、村上さんの小説家たるエッセンスだったのです。
村上春樹の大ファンでもない私だったので色々と彼の事を知る事が出来て、そして小説を書く事に対するヒントと励ましを得る事が出来て本当によかったと思える一冊です。

まずは君の好きなようにやってみなよと、それが一番なんだよと語りかける村上さんの
温かくて、それでいて彼の強さを感じる一冊。

追伸:

そういえばもうすぐノーベル賞の季節になってきますが、本作品にはノーベル文学賞に関しての思いも綴られています。色々とリアルな事をかいていらっしゃってとても興味深かったです(笑)

 

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