【連載】ネナベの田辺さん(4)


佐奈ちゃんが一度何かを言い出すともう止めることはできない。
思い立ったが吉日、猪突猛進ゴーイングマイウェイ。

「私が」

佐奈ちゃんが立ち上がった。ものすごい顔をしてる。

「私が田辺の事、守るから!」

わ、面倒くさいことになってきた。

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「彼を知り己を知れば百戦危うからずっていうじゃない?」
「う、うん」
「みせて」
「な、なにを?」
「田辺のツイートとにゃごろうのツイート」
「え」
「えじゃないよ、見せて。そもそもあんたたちがどんなことをつぶやいてるのかチェックしなきゃ」
「い、いや、です」
「声が小さい、何?」
「い、いやです!」
「何で」
「だ、だって・・」

昨日は確か某アイドル育成ソーシャルゲームのキャラのカップリングについて
ひたすらつぶやいてた。しかもかなり痛い方向に。痛いっていうのはその、いろいろな意味で
とにかく妄想丸出しBL全開の感じで。
周りは私の事を男子大学生って思ってるから気持ち悪いよお前ーって感じでチャカしてた。
まあ、中身が腐女子っていうオチもちょっとあれだけど。

佐奈ちゃんは正直サブカル系の知識はほとんどない。
そもそもBLってジャンルにきっと理解がないだろうから
とっても怖い。

「とにかくだめ!!プライバシーってあるでしょ!」
「わかったよ、じゃあにゃごろうさんのツイートみせてよ」
「え、それもだめ」
「鍵かけてるの?アカウントに」
「あ、いやかけてないけど」
「じゃあいいじゃん、別に私が見たって。アカウント教えて?」

・・・

「田辺さーん、聞こえてますかー?ア・カ・ウ・ン・ト」
「あ、はい・・」

にゃごろうさんのアカウントを佐奈ちゃんに伝えた。
この時点でもう、私のアカウントもバレたようなものだ。だって昨日、物凄い会話を繰り広げてたもの・・。

「・・・・・」

佐奈ちゃんは黙々とスマホをいじる。
右の眉毛がぴくぴくし始めた。あ、これはきっと嫌悪感を抱き始めた証拠。

「田辺、ちょっと色々説明して?
「は、はい・・」

佐奈ちゃんが指をさしながら話す。

「二人はホモが好きなの?」
「あ、いえ、その・・」
「いや、単純に聞きたいだけなの。ホモが好きなの?」

真剣な顔で大学という神聖な学び舎でホモがどうとかと話す学生ってかなり貴重。

「ホモ、そ、そうだね。あの、男の子同士がイチャイチャしてるのがいいっていうか」
「イチャイチャで止めていいの?」
「え」

佐奈ちゃん、お願いだから真剣な顔はやめて。

「本番までいかなくていいのっていってるの」
「あ、いえ、そういうのも好きです。違う日にこんなこともつぶやいてます」

全てを話すなら今だと思った私は自分のアカウントを佐奈ちゃんに見せた。
佐奈ちゃんはまた黙々と、今度は私のツイートを見始めた。

通知音が鳴った。私のスマホからだ。

「あ」
「あ」

にゃごろうさんからの通知が届いた。
内容はリバがどうとか書いているとっても痛いリプライでした。

死にたい。

 

(続)

 

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