【体験談】お友達にマルチ商法をすすめられちゃった時のお話し番外編(3)「直接狙える距離」


※【体験談】お友達にマルチ商法をすすめられちゃった時のお話し
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番外編(2)

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絡んで、縺れて、こんがらがって

よくよく考えると私とこの人たちのお話が合うはずがなかった。
この人たちはこの人たちで自分の正しいと思う事を真っすぐに私に勧めてくる。
一方の私は根拠のないお話には納得が出来ない性質なのですべてを疑ってかかる。

「それでね、藤松さん」
山野さんは熱心に私に話す。
「もしも、素敵なお家に住むことが出来たら嬉しいよね?それにもしも
好きな服をお金を気にせずに買えたりすると、うれしいよね?」

「えっと、それは・・・もちろん」
「じゃあ!それを実現できる事があるとしたらやらない手はないよね?」
「えっと、その・・・」
山野さんは笑顔を浮かべつつも目は笑っていない、入谷さんと同じように。
具体的にどういうビジネスなんですか?誰かが不利益をこうむってしまうモデルなんじゃないですか?
頭の中に浮かぶこうした質問もこの山野さんにぶつける度胸は、とうていないわけで私はただ
俯いてやり過ごすだけだった。

山野さんは綺麗な服を小刻みに揺らしながら、アクセサリーを
ちらつかせながらお話をつづけた。
このお話し、あまりにも長かったので要約をしましょう。
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 お 金 最 高 ! 

1行というか4文字で収まる話を山野さんは語る語る。これこそアレだ、ロキノンにある2万字インタビューに迫る勢い。
一方の私はひたすら俯いては「はぁ」「そ、そうですか」と答えるのみ。

そんな食いつきの無い私を見限ったのか、山野さんはカバンから名刺を取り出して言った。
「後はあなた次第だよ?決心が付いたらここにお電話してね?」
彼女は自身の携帯番号が記載された名刺を一枚、私によこしてくれた。
これで入谷さんに続いてかけたくない電話番号二つ目、ゲットだぜ。

間もなく、台本に書かれている事は全部言い切ったからと、そんな言葉が
きこえてきそうな目をした山野さんはささっと別の席へと移って行った。
ちなみに中野さんもそれじゃあ私もと小声で言い残すと一緒に居なくなってしまった。

また逃げた。


この出来事を振り返って一つ言える事があります。
それは仮にずっとここに居たら本当に「ビジネス」とやらに
巻き込まれてしまったかもしれないという事。

人間は恐ろしいもので、とある環境に放り込まれるといかに
その環境が自分とは異なるものであっても少しずつその環境が
自分にとっての「普通」になってしまう。

つまり、ずっと「ビジネス」の話を色んな人に聞かされると
いつしか「普通」に感じてしまい疑いを抱かないようになって
じゃあ私もやってみようかという判断を下しかねないという事。
よくよく考えるととても恐ろしい場所に足を運んでしまったなと
書きながらひやりとしています。

目の前に置かれた、私が頼んでもいないスクリュードライバーを
二口ほど飲んであたりを見回してみる。
カウンターには私以外には誰もいない。
真後ろの10人掛けくらいの席では勧誘されているであろう人が数名。
その他立食形式のスペースでは多くの人がいろんな話をしている。

お店の入り口付近に目をやる。
受付の人達もどうやら一仕事を終えたのか、誰もいない。

私は今一人で入り口も誰もいない。
これはもしかして、直接狙える距離&タイミングって事なのかな。
どうする、帰るか、でも中野さんは・・まあ後で携帯にメッセージを入れればいいか。
そもそも中野さんはもうビジネスを勧める側の人間なので危ない事もない。

・・・・行こう、逃げよう!

一度決めたら私は何気に行動が速い。
バッグをゆっくり手にするとカウンターの席を立ち
出来得る限り存在感を消して入口へと向かった。
私は黒子、私は影。そう念じながら。
だけどやがてそのたくらみも悪意のない善意によって潰されることになる。

「あれ?」

聞き覚えのある声がした。

「あ、藤松さん、ここだよー!」

その声が聞こえた九時の方向を見るとそこには中野さんがいた。
藤松さん、まだまだ帰さないよと言わんばかりに。

「藤松さん、こ・こ・だ・よ?」

中野さん、絶対許さない(笑)

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