【体験談】お友達にマルチ商法をすすめられちゃった時のお話し番外編(2)「アイキャン・・フライ?」


※【体験談】お友達にマルチ商法をすすめられちゃった時のお話し
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番外編(1)
番外編(2)

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飛べそうな気は、しない

中野さんに連れられてやってきた集まり。周りはますますお酒に身を任せてヒートアップ。
大声で何かを宣言する人、突如湧き上がる拍手。

そんなノイズをよそに入谷さんは静かに私に話す。

「飛べるんだよ」
入谷さんが何か言ってる。

「・・・飛べる?」
「そう、飛べる」
胸元のポケットからたばこを取り出し、「いいかな?」と言いながらそれに火をつける入谷さん。どうでもいいけどこういう時って「吸わないでください」とは言えないよね。

「藤松さんは、きっと決めかねているんだよ」
「はあ・・」
入谷さんは宙にたばこの煙を放り投げながらそう言う。
「俺だってね、はじめは怖かった。だけど一度始めてしまえば怖くない」
「・・えっと、怖かったって言うのはその、怪しいなって思ったって事ですか?」
たばこを灰皿に押し付けて彼は言う、そうだよと。
「本当にこんなうまい話があるのかって思ったよ?だけど、あったんだよ、ここに」
「そ、そうなんですか・・」
「だから、おれが背中を押してあげようと思ってるんだよ」
肉付きの良いあなたに背中を押されたらきっとその衝撃で奈落の底に落ちそうなんですけど。
自分のペースに持っていきたいと無意識に感じた私は一度ジョッキを手にして少しだけ
ビールを飲んだ。その様を入谷さんはじっとただみつめるだけだった。

「マジで、飛べるよ?」
「飛ぶって、なんだか怖い薬みたいですね、あははは」
「あはははははは!」
入谷さんの目は相変わらず笑っていない。入谷さんはその後も抽象的な事を言って私を何かに
勧誘しようとしていたけど正直あまり覚えていない。やがて入谷さんは別の獲物を見つけたのだろうか、私に携帯番号のようなものを書いた紙を置いて席を立った。なにかあったら、この番号に電話してと言い残して。なお、電話は終ぞする事はなかった。

一人でポツンとジョッキを手にする私。と、そこに雲隠れをしていた中野さんがやってきた。

「あ、藤松さん!どう?楽しんでる?」
楽しんでいるように見える?とは言わない。
「あ、えっと、うん。みんな、たのしそうだね」
中野さんは私の手を取って話す。
「そう!みんな楽しいの!だって、仲間だもん!」
「仲間、なんだ」
「藤松さん、ちょっとこっちに来て?紹介したい人が居るの!」
「え、また?」
「いいから、こっちこっち!」

中野さんに手を引かれて向かった先に行くと綺麗な女性がカウンターに座っていた。
女性は少し年上だろうか、バリバリ社会人やってますと言わんばかりのオーラを
醸し出していつつメイクも完璧。

その女性、私の目を見るやいなやこちらにやってきた。

「中野さん、この人があなたのお友達?」
「そうなんです!藤松さんです」
「あ、藤松、です・・」
びくびくしながらそう返す。
「藤松さん、私は山野です。よろしく、さ、ここに座って?」

山野と名乗った女性と中野さんに挟まれてカウンターに座る私。
それにしてもこの人たちはどうしてこう逃げる事の出来ないような陣形を敷くのだろう。
山野さんが何か飲む?と言うのでウーロン茶を頼もうとするとそれはだめと言われる。

「え?」
「だめよ、今日は楽しい日なんだから。せめてカクテルにしよ?」
「そうだよ藤松さん、今日は素面でいちゃだめだからね?」
「いやぁでも、さっきビール飲んじゃったしこれいじょうは・・」
「すみません、この子にスクリュードライバーをお願いします」
わーい、話を聞いてくださーい。

冷静な判断が出来ない状況に持っていきたいといわんばかりの二人。
スクリュードライバーが運ばれてくると山野さんが乾杯しようといった。
何にか?

「今日の出会いに、乾杯!」
「乾杯ー!」
「・・・・かんぱーい」

この時点あたりからだったと思う、いかにナチュラルにこの場から立ち去るかと
考え始めたのは。

 

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