【映画】かなしくてやりきれない、だけどあたたかい。「この世界の片隅に」を観てきました。


「この世界の片隅に」公開初日の今日、さっそく見てきました。
まずはじめに、素敵な映画をどうもありがとうございましたと私は言いたいのです。
少しでも多くの方に見てもらえる作品になれたらいいなと、ただそう願うばかりです。

さて、本作品をまだ見ていない方はテーマが戦時中のお話という事もあり、
あぁ、なんだか重い話なのかなと思うかもしれません。

はい、それはもうテーマがテーマなので悲惨なシーンも各所に描かれております。
だけどそれを理由にこの作品を観ないのは少し勿体ないと思います。

作品の中の「毎日」は本当に淡々と流れていく。
主人公のすずはそんな毎日をよいしょよいしょと駆け抜けていく。
笑って、泣いて、怒られて、そしてまた、笑って。

私はこの、何もなかったように「戦時下」という時の経過を描くところが
この映画の凄い所だと思うのです。

また、あからさまな悲劇を描くのではなくただ一方的に戦争反対だなんて
メッセージを前面に出すのでもない。だから、この手の作品についてまわる
右がどうとか左がどうとかといった事を考えず純粋に物語に没入する事が出来ました。

さて、それにしても

「すごいなぁ、私だったらこの時代、気を確かにもって生きることができるかな」

と思うのです。

なぜなら例えば、

・いつも仲良くしている近所の〇〇さんが空襲で亡くなった。
・親戚の〇〇さんが南方戦線で戦死した。
・来週は米軍が大編隊を組んで自分のいる街を焼き尽くしに来るらしい。
・日本はもうすぐ戦場になるらしい。

こんな話が次々と襲うわけです。それも絶え間なく。想像しただけでも気が狂いそうです。
戦場に居る男も、内地に居る女も、こうやって色んな恐怖と背中合わせに生きていた時代なんですよね。

(下に続きます)

ものがたり

18歳のすずさんに、突然縁談がもちあがる。
良いも悪いも決められないまま話は進み、1944(昭和19)年2月、すずさんは呉へとお嫁にやって来る。呉はそのころ日本海軍の一大拠点で、軍港の街として栄え、世界最大の戦艦と謳われた「大和」も呉を母港としていた。
見知らぬ土地で、海軍勤務の文官・北條周作の妻となったすずさんの日々が始まった。

夫の両親は優しく、義姉の径子は厳しく、その娘の晴美はおっとりしてかわいらしい。隣保班の知多さん、刈谷さん、堂本さんも個性的だ。
配給物資がだんだん減っていく中でも、すずさんは工夫を凝らして食卓をにぎわせ、衣服を作り直し、時には好きな絵を描き、毎日のくらしを積み重ねていく。

ある時、道に迷い遊郭に迷い込んだすずさんは、遊女のリンと出会う。
またある時は、重巡洋艦「青葉」の水兵となった小学校の同級生・水原哲が現れ、すずさんも夫の周作も複雑な想いを抱える。

1945(昭和20)年3月。呉は、空を埋め尽くすほどの数の艦載機による空襲にさらされ、すずさんが大切にしていたものが失われていく。それでも毎日は続く。
そして、昭和20年の夏がやってくる――。

あたりまえがこわれるということ

さて、現代の私たちは当たり前のように生きています。
そう、当たり前のように。

ところでその当たり前が崩れる時、私たちはどんな気持ちになるのでしょうか。
ひとつずつ、ひとつずつ、当たり前が当たり前じゃなくなっていく世界。

はじめに周りの環境の当たり前が崩れ去って、
つぎに自分の事に関する当たり前が崩れ始めて、
そしていつしか、自分の命さえ明日をも知れぬものという感覚になるとどうなるか。
正直私には想像することができない話です。

・・主人公すずの生きた時代はそうした時代です。

ところで三島由紀夫はとあるインタビューで自らが迎えた終戦(昭和20年8月15日)を
次のように語っています。


※動画、57秒部分から。

戦争が負けたら、この世界は崩壊するはずなのに、
まだ周りの木々が濃い夏の光を浴びている。

(万がいつ戦争に負ける事なんてありえないという)当たり前が崩れたにも関わらず、
淡々と日常は日常であり続けている。この不思議な感覚。
私はこの言葉を映画を観終わった後思い出しました。

「当たり前」という概念は普段は私たちの周りには当たり前にあり続けるがゆえに
なかなか深く考えたりすることはないと思います。
そんな当たり前を深く考える機会を与えてくれたのはこの映画でもありました。

・・・・と、ネタバレをさけるために内容の事は深く書くことは出来ないのでこういう
記事の形となりましたが、少しでも興味がわいて映画を観てみようかなと
思ってくださる方が居れば私は嬉しいです。

登場人物は人間臭くて、それでいてどこかそしてそこにコミカルなあたたかさを帯びた
不思議な魅力を持っています。

映画を観終わった後、きっと不思議な気持ちになりますよ。

「この世界の片隅に」、ぜひ、ご覧くださいね。

PS.コトリンゴさんの「悲しくてやりきれない」、心に響きました・・・。

(終)

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