【連載】ネナベの田辺さん 第14話 「嵐は終わらない」


「たべちん今日はごめん、色々と説明もしておかないといけないなって反省してる」

そう書き始められていたみっきーからのDM、要約するとこうだ。
まずみっきーは例の恵梨香という女の子と付き合っている事は間違いないがそれは仕方なく
付き合っているという事。(押しの強い彼女を見るになんとなく察して余りある)
また恵梨香はみっきーがいわゆる「ゲイ」であることは知らず、一方でみっきーもいまさら
カミングアウトするタイミングを逸しており困っているとの事だ。
そして

「私がTwitterやっていることも恵梨香はしらない」

という。

私と別れた後、みっきーは恵梨香に色々と詰問されたそうでへとへとになったという。
みっきーからの長文のDMを読み終え、返事を考えていると二通目のDMが届いた。

「たべちんはそもそも今日の事は気にしないでいいからね、悪いのは私だから」

私は即座に返事を出す。

「気にする笑 でもごめんね、私もうまく恵梨香さんに説明してたらこじれなかったのに」

と。その後みっきーからも返事が届く。

「ありがとう、みっきーは優しい人だね。お友達になれてうれしいよ」

昨日は遅い時間までみっきーとDMのやり取りをしたせいで眠たくて仕方がなかった。
何度も何度もあくびを繰り返す私の横で佐奈ちゃんはもくもくと今日の語学の宿題を
解いていた。

「・・・・田辺さ、最近寝てないんじゃないの?」

シャーペンと止めた佐奈ちゃんがそうつぶやく。クマを両目に付けながら。

「ちゃんと寝ないとだめだよ、田辺は体力ないんだから」

体力があれば寝不足でも構わないんだよと体で言わんばかりの佐奈ちゃん。
きっとそういう佐奈ちゃんも寝不足なんでしょという私の返しを待っているんだろうけど
疲れているので特につっこまない。

私たちは今、文学研究部室にいる。そう、私は文学研究部という部に入っている。とはいえ
部といってもメンバーは私を含めて5人ほど、私以外はほとんどこの部室には来ないので実質私の部屋みたいなものだ。部員じゃない佐奈ちゃんはそれにかこつけてちょくちょく部室に訪れる。まあ、居心地良いからそうなるよね。

「そういえば田辺、もうすぐだよね」
「もうすぐ?」
「にゃごろうさんと会う日だよ」
「あ、ああ。うん」

にゃごろうさんと会う日は確かに楽しみ。だけど昨日のみっきーのトラブルの件もあったせいか、にゃごろうさんとの間でも何か厄介なことが起きたりするんじゃないかと考えちゃうようになってから少し複雑な気分。

そんな矢先だった。みっきーからDMが入ったのは。
恵梨香が私の大学に向かっていると。

「え」

どうしたの田辺?と顔を上げて私を見る佐奈ちゃん。
どうすればいいの私?と顔を上げて佐奈ちゃんを見る私。

スマホが再び震える。みっきーからの二通目のDMだった。

「恵梨香、何故か怒っているんだよね。もしいま大学にいるなら会わないようにしてね」

私、大学に、います。

(続)

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