【連載】ネナベの田辺さん 第12話



自由が丘に来れば必ず行きたい場所、スイーツフォレスト。
今日は例のフォロワーさん、みっきーさんと一緒に来ています。
みっきーさんはパフェを頬張りながら軽快に話す。

「いや、ほんと、たべさんが女子だとは思わなかったよ」
「あ、はい。私も、みっきーさんが男子だとは思いませんでした・・・」

みっきーさんは男でした。


「み、みっきーさんはどうしてネカマやってたんですか?」
「ネカマ?私自分は女だなんて一言も言ってなかったけど・・」
「え?」
「え?」
「え?うそ!だって一人ディズニー最高とかつぶやいてるじゃん!」
「お、男一人でディズニー行ったらいけないの?」
「いや、そんなことは無いけど・・。でも!ほら!咲坂さんの新作の漫画面白いとかつぶやいてるじゃん!」
「お、男が少女マンガ読んだらいけないの!?」
「いや、そんなことは無いけど・・」
「っていうか、たべさんこそ女子だなんて思わなかったよ。たべさんは自分の事男だって言ってたじゃん!」
「あ、そ、そうだったかな」
「いやいや、プロフに思いっきり書いてるじゃん」
「はい」

ぐうの音も出ない。

「まあまあ安心してよ、私は女子に興味ないから」
「・・・・・え?」
「あぁ、ゲイなんだよ。私」
「・・え!?」
「何?ゲイは嫌?」
「う、ううん全然。むしろ初めてゲイの人に会えて嬉しいです」
「そう?ならよろしい」

みっきーさんは色白で線が細くて背の高い、爪先から何まで綺麗な高校二年生。
というかはっきり言って格好いい。あれだ、ジャニ感が半端ない。

「たべさんは年上なんだね。小さいからそういう風には見えないけど」
「悪かったね」
「たべさんがもしtwitter通りの腐男子だったら色々教えてあげたいって思ってたのになぁ」
「い、色々って?」
「・・・知りたい?ちょっと生々しい話になるけど・・・?」
「いやいいです、いいです、ははは・・」
「なーんて、私はゲイなのは間違いないけどそういう経験はまだ一切ないから」
「こ、高校生だもんね」
「歳なんて関係ないよ、中学生でもそういう機会があればしたと思うし」
「そ、そういう機会?」
「聞きたい?」
「ううん、あはは・・・」

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「このパフェおいしい・・」
「でしょ?私のも食べてみて?」
「え?」
「・・・え?なに?間接キスがどうとかいうの!?たべさんかわいい!」
「うるさいな、ちがうよ・・・あ、おいしい」
「私のお気に入りなんだ、これ。ここに来たらまず頼むの」
「へー・・・」
「・・・なに?」
「いや、みっきーさんって高校生なのにしっかりしてるね」
「ありがとう、っていうかさん付けしなくていいよ。みっきーで」
「じゃあみっきーで。どうせだったら私もさんつけしなくていいよ。年上だからって別に
畏まられてもって感じだし」
「じゃあたべちんって呼ぶね」
「・・・まあいいか」
「でも今日は楽しい。たべちん、私の事を知っても別に拒絶反応みたいなのを示さなかったし」
「ああ、だって、人それぞれだもんね」
「そう!その一言はとてもうれしい!男が男を好きになって何が悪いのって話!」
「そうだよみっきー、私応援するよ!」
「ありがとうたべちん、いいこだね」
「・・・な!」

細くて白い手が私の頭の上に乗った。急な出来事で私はついのけぞる。

「なにするの!?」
「え、何って、たべちんの頭を撫でただけだけど・・・たべちんって、うぶ?」
「・・・うるさい」
「かわいい!私たべちんの事気に入った!」
「全然うれしくないし」
「まあまあ、本当に年上に見えないよー、いい意味で」

繰り返すがみっきーははっきり言って格好いい。そんな男に頭を撫でられたら動揺せざるを得ない。
少しだけ熱くなった顔を手で扇いでいるとみっきーは何かを見るや否や突然膝の上に置いてあった帽子を目深に被った。

「・・・どうしたの?」
「いやぁ、クラスの女子が居たから」

みっきーの視線の先をこっそり見遣ると3人組の女の子がいた。
今のところみっきーには気づいていないようだが。

「・・・っていうか、ばれちゃうとまずいの?」
「うん、ちょっとまずい・・・」
「・・・?そっか、じゃあうまくやり過ごした後お店出ようか?」
「・・・そうしてくれるとありがたい」
みっきーのクラスメイト3人組はマカロンを手に立ち去った。
彼女たちがお店を出るのを確認した後10分くらい時間をおき、会計を済ませてみっきーとお店を出た。

「はぁ・・・ありがとうたべちん、助かった」
「それは別にいいけど、どうしたのそんなに隠れるようにして」
「いやぁ、なんていうか」
「え、みさき?」

お店を出た直後、右側から声がした。
さっきの3人組が店外のベンチに腰かけていたのだ。みさき?誰の事だ?

「あ、や、やあ恵梨香・・」
「みさき、誰、その女の子・・」
「恵梨香、話を聞いて、違うんだよ・・」

お菓子の甘い匂いに連れられて、修羅場が突然やってきた。

(続)

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