【対話体】まっかな上田君 ひとつめ



「現状に甘んじるって言葉あるじゃない?」
「ああ、うん」
「これってあんまりいい意味では使われないよね?」
「まあそれは、そうだよね。むしろ悪い意味ってイメージ」
「ね。ところでね、私、上田君に甘えたいなって思う」
「・・・ん?えっ?」
「甘んじたいなじゃなくて、甘えたいなって」
「えっと、園田さん?」
「上田君、私じゃ・・・だめ?」
「いや、えっと、ダメっていうか・・」
「じゃあ甘えてもいい?」
「・・・・あ、うん」
「やった!じゃあこの用紙、運ぶの手伝ってくれない?ちょっと重そうで困ってたの」
「・・・・・・・」
「上田君?どうしたの?顔が赤いけど」
「いや、別に・・」
「・・・・・・?」


「あ」
「あ、上田君おはよう!」
「おはよう・・・・・」

「・・・・・・・・・」
「どうしたの上田君?今日小テストがあるから憂鬱なの?」
「え、いや、そうじゃないけど」
「けど?」
「・・・・・・・・・」
「上田君、黙ってちゃわかんないよ?言葉にしないといけないよ?」
「べ、別に何でもないし」
「嘘だ」
「え」
「何か気まずい事でもあったんでしょ?」
「・・・いや、園田さんがそれを言う?」
「え?なんで?私が何かした?」
「何かって、昨日・・・」
「昨日・・・・?あ、用紙を運んでくれて助かったよ、ありがとう。
もしかして迷惑だった?ごめんね!」
「いや、用紙運び自体ははお安い御用なんだけど」
「自体は?けど?」
「・・・」
「だから、黙ってちゃわかんないよ?あれ?顔が赤いよ?」
「あ、えっと、気にしないで!俺先に行くから!じゃあ!」
「・・・?」


「上田君、小テストできた?」
「うーん、まあまあかなぁ。一、二か所自信がないけど」
「どの部分?」
「塙保己一って漢字でちゃんと書けたかなとか」
「ああ、結構複雑だもんね。っていうか、脚注の部分ってやっぱり出題するんだよね
あの先生。ま、細かいところはもちろん大切なんだけど」
「まあ、一問一答系の問題は今の内に慣れておかないとね。園田さんは出来た?」
「うん、そういえば雨月物語の問題がでてたじゃない?筆者は誰かって」
「ああ、うん」
「私、上田秋成ってすぐにかけたんだよー」
「へー、なんで?」
「え?だって、雨月イコール上田君ってずっと覚えてたから」
「えっ」
「上田君、上田君、上田君!って勉強中に何度も呟いてたんだよね」
「・・・」
「ん?上田君?」
「いや、別に・・」
「・・・・・・?」


「園田さん、いつも上田と一緒にいるよね。付き合ってるの?」
「違うよそんなんじゃないし、小中ってずっと同じだったし仲がいいだけ」
「だけ?」
「だけ」
「そうなんだ、園田さんってちなみに好きな人っているの?」
「別にいないよ?なんで?」
「ああ、いや何となく」

「・・だってさ」
「そっか・・・」
「落ち込むなって、大体恋なんてものはほら、あれだよ。意識させたもん勝ちなんだよ」
「具体的に言ってよ」
「あー、例えばあれだ。お前が園田さんに対してもっと好きだってアピールをするんだよ」
「そんなの、恥ずかしいから無理だって」
「そんな事言ってたらあっという間に高校生活終わるぞ、いいのかよ上田」
「よくは、ないけど」
「だろ?もっと積極的に行くんだよ」
「例えば?」
「あー、園田さんと一緒にいる時が楽しい、とか言うんだよ」
「・・・・」
「お前、赤くなってんぞ」


「上田くん、帰ろ?」
「あ、うん・・・」

「・・・・でね、生物の授業って雑談ばっかりなんだって」
「そうなんだ」
「うん、いいよねー」
「そうだね」

「・・・園田さん」
「うん、なに?」
「あ、いや、その・・・」
「?」
「そ、園田さんと一緒に、その」
「私と一緒に?なに?」
「あ、いや。園田さんと、その」
「だから、どしたの?変なの」
「・・・・・」
「私と一緒にいると楽しい、とか?」
「え!」
「わ!びっくりした!」
「いや、あの、いや・・!」
「・・・・まっか」
「!!」
「あ、上田君待って!」

「・・・上田君、かわいい」

(続)

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