【読み切り】とどめ


そう、つまりはこういうことだ。私はさっきフラれた。豪快に。

私を振った西野君は申し訳なさそうに目線をそらして頭をかいている。
これは、現実?
だってあんなに仲良く私と話をしてくれたじゃない。
だってあんなに楽しそうに私と映画についてきてくれたじゃない。
だってあんなに・・・。

「大野、その、本当にごめん!!!!」
西野君が謝っている意味が分からない。なぜ君は謝るの?正直に答えてくれたのなら
私はそれで構わない。西野君は本当にいい人だなぁ、大好きだ。

「大野!俺は自分にうそをつきたくないんだ!」
西野君が顔を真っ赤にしてそういってくれる、私はそういう誠実なところが大好きなんだ。

西野君とは小学校の六年から4年間ずっと同じクラス(学校)で、気が付いたらよく二人で
仲良く遊ぶような関係になった。でも高校に入ると私は友達というか、恋人の関係になりたいって
気持ちが強くなってきたわけで。それで勇気を振り絞って告白をして今に至っている。

「お前は本当にかわいいし、やさしいし・・」
うん、ありがとう、西野君。そんなことを言ってくれるだけですごくうれしい。

「でもなんていうか、思い込みが激しすぎるんだよお前は!!」
うん、私もそう思う。

「だからバカなことはやめろ!!こっちへこい!」
バカなこと?西野君、何を言ってるの?西野君の彼女になれないってわかった以上生きてても仕方ないもん。
少し様子を見ていつか西野君に好きになってもらえばっていう意見はNG。
西野君がほかの子を好きになっているっていう事実が私の中では許せないわけで。
そんなの、私の大好きなオレンジジュースに泥水を一滴垂らされたようなものだよ。
だからもういい、いろいろどうでもよくなった。屋上から真っ逆さまに飛び降りて
全部終わりにしたいんだよ。

後ろを振り返る。綺麗な海が見える。そういえばこの高校に一緒に入ろうねって西野君と
がんばったっけ。江ノ島がとてもくっきり浮かんでる。でももう意味がないよね。

「何やってるんだ!二人とも!!」
声がした。杉谷君だ。

「杉谷!」
「西野!俺が言う」
え?何を?

「大野さん!俺、西野と付き合ってるんだ」
え。

「杉谷!」
「本当のことを言わないと大野さんに失礼だろう!大野さん!俺たち、男同士で付き合ってるんだ!」
・・・・。

「大野さんはとてもかわいい!でも今回の件は大野さんに魅力がないとかじゃないんだ!
そもそも西野はホモなんだよ!だから落ち込むことはない!!!」
・・・・。

とりあえず私は飛び降りた。

 

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